今回様々なストックオプションの中でも、「無償ストックオプション」について解説します。
無償ストックオプションとは?
もっとも一般的なストックオプションで、無償で付与することができます。付与時にお金がかからないので、創業間もないスタートアップ企業で従業員もまだあまりお金を持っていない場合に多く取り入れられています。
また、適格要件を満たすことで「税制適格ストックオプション」の導入が可能です。従業員がストックオプションを行使し株式を取得した時点では税金がかからず、最終的に売却して利益が出た時に譲渡取得としてのみ課税される制度です。売却前に先行課税されることもなく、税負担の仕組みがわかりやすいため、ストックオプションという制度の趣旨ともマッチする制度といえます。
無償ストックオプションのメリット
・税制適格要件を満たせれば、従業員や取締役など付与対象者からみてインセンティブの効果が高くなります。
・付与対象者の出費や手間が少なく付与することができます。
無償ストックオプションのデメリット
・損金算入ができない場合が発行する企業によってあります。
・現行の制度では、税制適格要件を満たせるのはほぼ上場企業に限定されるため、上場以外のイグジットに対応できない場合があります
・税制非適格となった場合、キャピタルゲインによる利益を得る前に先行課税されてしまう可能性があります。
【税制適格要件のうち代表的なもの】
・付与対象者が社内又は子会社の役員・従業員であること
・行使期間が付与決議後2年を経過した日から10年を経過する日までであること
・権利行使額の上限が年間1200万円であること
・1株あたりの権利行使価額が発行時点の株価以上であること
・ストックオプションの譲渡禁止が規定されていること
・権利行使で得た株式は証券会社等に保管委託等されること
無償ストックオプションは、払込なく発行できるスキームですが、税制適格を満たすかどうかなど、最低限の知識と法務・会計・税務理解が必要となります。無償ストックオプションの発行を検討している方、無償ストックオプションに限らずインセンティブ設計に関して疑問点をお持ちの方がいましたら、お気軽にお問い合わせください。
Comments